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【採用担当者さま必見!!】外国人が在留カードを発行してもらうための条件4つ!

日本で生活をしている外国人は,原則として在留カードを所持しています。

在留カード見本

この在留カードを適正に発行して貰える人が,適法に日本に滞在できる外国人ということになります。

すなわち,企業の採用担当者さまからすると「採用を決めた外国人が,入社後も入国管理局から在留カードを発行して貰える人」であるならば,その外国人を雇用することができることになります。

 

新卒採用のケースであれば,面接時点では,外国人が持っている在留カードは「留学VISA」の在留資格で発行されていると思います。

そうすると,「留学VISA」では,資格外活動許可を取得している場合を除き就業できませんし,資格外活動許可を取得していたとしても週28時間しか働くことができません。

そのため,採用後は働くことがOKの在留カードを発行してもらわなければなりません。(たとえば「技術・人文知識・国際業務」「技能」など)

 

でも,どのような人が働くための在留カードを発行して貰えるのか全く見当もつかないですよね。

そこで,この記事では,外国人雇用の基礎知識として,在留カードを発行してもらうためにクリアしなければいけない条件をわかりやすく解説します。

※本記事は,わかりやすさを優先し,厳密な表現をあえて避けている箇所があります。

 

先に結論を言いますと,在留カードを発行してもらえる外国人とは「①行おうとする活動がどれかの在留資格に該当し,②申請に嘘がなく,③上陸拒否事由に該当せず,④(一部の在留資格ではさらに)上陸許可基準に該当する者」です。

整理すると以下のとおりです。

【在留カードを発行してもらえる=適法に日本にいられる外国人の条件】

  • ①:行おうとする活動がどれかの在留資格に該当する
  • ②:申請に嘘がない
  • ③:上陸拒否事由に該当しない
  • ④:(一部の在留資格ではさらに)上陸許可基準に該当する

これら①~④を全て満たす必要があります。

 

そして,企業さまとしては,採用する外国人を雇用するには,上記①~④を当該外国人が満たすことを書面上で入国管理局に説明することが必要となります。

この書面での説明に入管法・審査基準要項の専門知識が必要ですので,行政書士などがご支援をさせて頂くことが多いのです。

それではここから,条件①~④について,ここに詳しくわかりやすく解説していきます。

この記事を執筆している現在で日本には約30種類の在留資格がありますが,まず,外国人が行おうとしている活動が,日本が用意している在留資格のどれかに該当する必要があります

たとえば,「ITエンジニアとしてシステム開発を株式会社〇〇で従業員として行います」という活動であれば「技術・人文知識・国際業務VISA」に該当しますので,この条件①はクリアとなります。

 

逆にこの条件①をクリアできない例としては・・・

NG例その1「内閣総理大臣を抹殺しようと思います!」

→これは,日本が用意する在留資格のどれにも該当しませんので,条件①が満たせず,この時点で在留カードは発行されません。

 

NG例その2「日本で株式会社を設立して,禁止薬物を売買・貿易する事業を行います!」

→日本で株式会社を設立して事業を行う在留資格は「経営・管理VISA」がありますが,この外国人のような反社会的事業を行う場合は「経営・管理VISA」に限らずいずれの在留資格にも該当しません。 よって条件①を満たしません。

このように,日本に来て(日本に引き続き残って)この先行おうと考えている活動が,在留資格のどれかに該当していない場合,その時点で在留カードを発行はしてもらえません

 

在留カードは,ボーっとしていれば日本が勝手に判断して郵送してくれるものではありません。

在留カードの発行を望む外国人,当該外国人を採用した会社,弁護士又は行政書士から申請をしなければ,在留カードが発行されることは絶対にありません。

 

さきほどの条件①のこれから行おうとする活動についての説明と,当該外国人について(過去の法令違反・犯罪歴・オーバーステイ歴・オーバーワーク歴など)の説明を,書面にて申請をするに際に行うこととなるのですが,この申請において嘘が含まれていないことが条件②となります

申請に嘘があると,それひとつのみで申請が不許可になりえます。

 

「申請で嘘書くなんてありえなくね?」と思うかもしれませんが…,

とある会社A「させようとしている仕事内容をそのまま書くと単純労働として不許可になりそうだから…,ちょっとマネジメント業務もさせて,このマネジメント業務がメインってことに申請書類上はしておこう…。 外国人くん,いいね? 君も日本に来られるし,話合わせてね?」

とある外国人B「わかりました・・・!」

・・・なんてことがあったりなかったりするのが,外国人雇用の世界です。

 

ちなみに,上記のような“ごまかし”も“嘘”には変わりありませんので,条件②で引っかかることになります。

さらに,外国人には資格外活動罪(入管法73条・19条1項),雇用主には不法就労助長罪(入管法73条の2)が成立する可能性がありますし,立派な犯罪ですので絶対にやめましょう。

 

次に,外国人が上陸拒否事由に該当しないことが条件③として必要です。

上陸拒否事由とは,入管法5条に定められており,上陸拒否事由に該当する場合には日本への上陸が拒否されます。

日本に上陸できない以上,在留カードも手に入りません。

 

上陸拒否事由はいくつかありますが,入国管理局が例示している代表的なものは以下のとおりです。

  • (1)保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
  • (2)反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
  • (3)我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
  • (4)我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者
  • (5)相互主義に基づき上陸を認めない者

 

一部の在留資格においては,条件①~③に加えて,追加で条件④として上陸許可基準に該当しなければいけません

上陸許可基準は在留資格ごとに個別で定められている基準で,上陸許可基準が定められている在留資格は以下の資格たちです。

  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 介護
  • 興行
  • 技能
  • 特定技能
  • 技能実習
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在

上陸許可基準がなぜ必要なのかについては,以下のとおり(『入管法の実務』より抜粋)です。

“入国・在留する外国人が日本国の経済や国民生活に及ぼす影響等を勘案の上,入国管理政策の観点から上陸を許可する外国人の範囲を調整する必要があると認められる在留資格について,・・・上陸のための条件として,基準省令において定められたものです。”

新版 詳説 『入管法の実務』 著 弁護士 山脇 康嗣

 

「日本で働くよ」「日本に留学するよ」と外国人から言われた際に,日本がホイホイ外国人の入国を許していると,日本人の失業率は上昇しますし,日本人で進学できた人ができなくなるケースが増えてしまいます

したがって,「日本で働くよ」として「技術・人文知識・国際業務VISA」を望む場合,『大学や専門学校を卒業し,その知見を活かせる職に就く場合のみ在留カードを発行するよ』(←これが上陸許可基準)として,条件④とクリアした者のみ日本での在留を認めることとしたのです。

つまり,条件③の上陸拒否事由に該当しない人の中から,さらに条件④の上陸許可基準でさらにふるいにかけ,条件③も④も満たす人のみが,在留カードを発行してもらえるのです。

 

冒頭で結論先出しをしましたが,ここまで読んで頂ければ,どのような外国人が適法に日本に滞在し,在留カードを発行して貰るのか,ざっくりご理解頂けたのではないでしょうか?

改めて書きますと…,在留カードを発行してもらえる外国人とは「①行おうとする活動がどれかの在留資格に該当し,②申請に嘘がなく,③上陸拒否事由に該当せず,④(一部の在留資格ではさらに)上陸許可基準に該当する者」です

 

企業のご担当者様などで,この記事を読んで「この間面接した人は条件①~④すべて満たしているな!」と確実に判断できた方は,ほぼいらっしゃらないと思います。

なぜなら,肝心の条件①(活動がいずれかの在留資格に該当する)の在留資格該当性や,条件④(上陸許可基準をクリアしている)の上陸許可基準を知らない,または,知っていても採用外国人が本当にクリアしているかの判定基準や事例を知らないことがほとんどだからです。

 

このあたりは,やはり専門家を頼って欲しいと思います。

 

採用予定の外国人の方が,今,学生で「留学VISA」で滞在していて,採用しようと入管手続きを会社で代理したとします。

もしそこで不適切な申請だったときは,当然不許可になります。

そうなると不許可の履歴はずっと入管に残り続け,当該外国人の今後の審査で不利な事情になる可能性があります

また,不適切な申請で不許可となり「留学VISA」の期限が切れてしまえば,その外国人の方は日本にいられなくなります

それは,外国人の方が適切な申請をすれば日本に残れたかもしれない可能性を潰してしまい,外国人の方のライフプランを大きく破壊することを意味します

 

取り返しのつかないことになりかねないのが入管法業務です。

ご無理をなさらず専門家のご支援を受けることをおすすめいたします。

当事務所では初回無料相談(1時間)の制度もご用意しておりますので,是非お気軽にお問い合わせください。

 

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